終戦と鈴木貫太郎

毎年、終戦記念日にこのエピソードを思い出す。

第二次世界大戦終戦前夜、1945年4月12日、米国大統領フランクリン・ルーズベルトは急逝した。脳卒中であった。ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーは、ラジオ放送で死去したルーズベルトを口汚く罵った。それに対し、日本の鈴木貫太郎首相は「偉大な大統領を失ったアメリカ国民に、深い哀悼の意を送る。」とルーズベルトの死を悼む内容の声明を発表した。

ナチスに迫害されてアメリカに亡命していたドイツ人作家トーマス・マンはこのことに深く感動し、英国のBBCラジオ放送で次のように述べた「驚くじゃありませんか。日本は米国と生死を賭けての戦争中なのに、敵国大統領の訃報に哀悼の念を送るのですよ。東洋の国日本にはなお騎士道精神があり、人間の死への深い敬意と品位が確固として存する。鈴木首相の高らかな精神に比べ、あなたたちドイツ人は恥ずかしくないのですか。」。鈴木の行動は戦時下、世界中に感銘を与えた。