アップルの思い出 その1

私が医学生のころ(30年近く昔だが)、コンピューターはとても高価かつ難解なものだった。
個人所有の同級生がいた記憶がない(医学部のサークルにマイコン研究会というのが
あったので、所持していたマニアがいたのかもしれないが。ちなみに当時は個人所有の
コンピューターをマイコン(マイ・コンピューター)とよんでいた。
PC(パーソナル・コンピューター)のいにしえの呼称だ。)。
マイコンどころかワープロ所有でさえクラスで限られた数名だけだった。
卒業して医師として働き始め、学会発表することになり、ワープロが必要になった。
メーカーは忘れたが、勧められるままに購った。
今思えば原始的な器械だったが、研修医の間はそれで学会発表をこなし、
論文を2篇書いた。もとは取れたと思っている。
マイコンは敷居が高く、知人のものを試しに使わせてもらっても、「コマンドが違います。」
などと意味不明のメッセージが出てまったく仕事にならないため、縁なき衆生であった。
マイコンもいってみれば家電製品である。容易につかえなければ無意味だ。
たとえばスイッチひとつで動かないテレビであればすぐに返品・クレームだろう。
その後、卒後4年目の時に初めてPCを買った。マッキントッシュIISiという機種だった。
従来のコンピューターに馴染めないものを感じていたが、ワープロだけでの仕事も限界で、
アップルのマッキントッシュはユーザー・フレンドリーつまり素人でも使えるという
宣伝文句が購入を決意させた。宣伝文句に違わず使い良いPCですっかり気に入った。

その2に続く。