抗てんかん薬と薬疹

てんかん薬を開始する際に最も懸念するのが薬疹である。
めったに起きるものではないが、ゼロでないので注意を要する。
じんま疹が出たら、内服をすみやかに中止する。
中止しないでおくと、こじれて、全身が火傷のように焼けただれ、
眼も傷害する。重症化すると失明や死亡することがある(Stevens-Johnson症候群)。
そこまでいくと総合病院の皮膚科でないと対処できない。
幸い、私は自分の担当患者さんではそれを起こしたひとはいない。
じんま疹の兆しあれば抗てんかん薬を早期に中止してもらうからだ。
他医(非てんかん専門医)の患者さんがそれを起こして皮膚科治療を受けた後に、
皮膚科を介して抗てんかん薬調整目的で紹介されたことは何回もあるが、
いったんStevens-Johnson症候群をおこした場合、その後の治療に難渋する。
そういう意味で、てんかん専門医以外はてんかん治療に安易に手を出してほしくない。

てんかん薬をやめる場合も注意を要する。
いきなり抗てんかん薬を中断すると離脱性けいれん(withdrawal seizure)と
いうひどい痙攣〜重積状態を起こして止まらなくなることがある。
それらを起こさないように対処するノウハウをてんかん専門医は心得ている。