ロバート・ギャロ

1987年、医学部5年生の時にエイズ(AIDS)の講義があった。
ウイルスで起きる難病として当時の最新トピックスであり、
世界中の人がアメリカ国立がん研究所のロバート・ギャロ博士が
1984年にエイズ・ウイルスを発見したとして讃えていた。
講義された先生はギャロ博士と知り合いなのがご自慢で
講義中に友人扱いで「ギャロが。。。」と繰り返していた。
ところが実はギャロ博士はフランス パスツール研究所
モンタニエ博士らが一年前の1983年に発見していたエイズ
ウイルス試料を入手してあたかも自分が発見したように
とりつくろって発表した疑いが生じて、国際問題にまでなった。
私たちが講義を受けてほどなく後、当時の米国レーガン大統領と
シラク首相との間で話し合いがもたれ、いったんは両者を
発見者とするという異例の政治決着がなされた。
発見者論争に最終決着つけたのはノーベル賞選定委員会だった。
2008年、モンタニエ博士と共同研究者バレ・シヌーシ博士の
二名にノーベル医学生理学賞授与が決まった。
エイズ・ウイルス発見の功績だ。
ノーベル賞選定委員会の調査でロバート・ギャロ博士は
パスツール研究所から提供された試料を流用して自分の発見
として発表したので賞の授与には値しないという結論だった。
ギャロ博士はそのウイルスがエイズという新奇な病気の原因で
あることをつきとめた功績があったのだが、ウイルスの発見まで
自分の手柄にしようと画策したことが評価を下げた。
他人からわけてもらったウィルス試料をもとに新規のウィルスと
して自分が発見したようにして発表したのは科学者として致命的で
あり、そのような人物にノーベル賞を授与できないことぐらい
わかりそうなものなのだが、研究の世界は功績を争うあまり
歪んでしまうことがある。ギャロ博士はその後も自分にも
ノーベル賞の権利があると強硬に主張し続けたが、失笑をかう
だけの残念な結末となった。

医療法人雄翔会 いまむら脳神経クリニック
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