頭脳パン

慶応大学医学部教授だった林 髞(ハヤシ タカシ)医師は
太平洋戦争前からの大脳生理学の権威だった。
戦後、頭をよくするという考えに取りつかれ、
米食をパン食に切り替えると頭がよくなると主張し、
頭がよくなる頭脳粉という小麦粉を開発して、それを原料に
製パン業者と組んで「頭脳パン」というものを売り出し、
「米を食うとバカになる。」と力説し、全国を講演して
頭脳パンを勧めた。
同時期、化学調味料の主成分グルタミン酸ソーダ
ブレイン・メディシン(頭が良くなる薬)と主張した。
『教授先生が言うことだべや。間違いなかっぺ。』と
真に受けて、わが子に頭脳パンを与え、食事に味の素を
しこたまふりかけた家庭が多数あったという。
1959年(昭和34年)頃の話で私の生まれる前のことだ。
それから10年後の1969年(昭和44年)に物故。享年72歳。
林先生の全国行脚には製粉会社、製パン会社が資金提供し、
会場にもこれらの会社が作製したパンフレットが
山積みだったという。対照的に化学調味料の会社は
社員に「頭が良くなる。」という宣伝を禁じた。
科学的根拠がなかったからだ。
優れた学者が晩年、トンデモ学説に取り憑かれるも、
科学的根拠を立証できないため、学術論文として
受け入られず、自説を一般書として刊行し、
あちこちで講演して回り、企業がのっかるという
昔からよくある話だ。驚くことに頭脳パンは石川県を
中心に生産が続いている。主な購買層は受験生だという。

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