てんかん

てんかん外科とワシントン大学

ワシントン州シアトルのワシントン大学医学部 脳神経外科 オジーマン教授(Prof. Ojemann)はてんかん外科の大家だ。 シアトルこども病院、オジーマン研究所など幅広く兼任して、 ヒトの言語野の研究、小児てんかん外科などで世界的に知られる。 アメリカて…

小児欠神てんかんと複雑部分発作

小児欠神てんかんは全般てんかんの代表で 複雑部分発作は部分てんかんの代表だ。 両者は症状が似ているが予後、治療が異なる。 取り違えて治療すると痛いことになる。 ちなみに自動症はどちらにもみられる。 いまむら脳神経クリニック公式ホームページ 病院…

小児欠神てんかんと複雑部分発作

小児欠神てんかんと複雑部分発作は症状が似ているが 別の病態であり、治療方針が異なる。 てんかん専門医でないと判断できないことが少なくなく、 取り違えて治療すると痛いことになる。 ちなみに自動症は両者ともに認められる。 いまむら脳神経クリニック公…

大は小を兼ねない

抗てんかん薬の適切な量は個人差が大きい。 少ない内服量で十分な発作抑制効果がある場合の一方、 かなり増量しても効果が出ないこともある。 私が研修医の頃に出た論文で当時の代表的な 抗てんかん薬だったフェニトインは量を増やすと かえって発作が増えて…

Epilepsy Forum 2017年7月1日

昨日は研究会 Epilepsy Forum (東京)だった。 新規抗てんかん薬の議論が多く、勉強になった。 いまむら脳神経クリニック公式ホームページ 病院口コミサイト(鹿児島県) ネット予約24時間受付。 診察はネット予約できます(予約受付24時間対応、初診・…

発達障害

発達障害という精神科病名が知られるようになってきた。 その反面、拡大解釈で安易に発達障害と決めつけられて しまうことも起きている。発達障害は精神科医が 専門的に診断をくだすものである。 脳神経外科医が扱えるものでない。 その反面、てんかんの患者…

レム睡眠行動障害

夜中に突然暴れ出す病気にレム睡眠行動障害がある。 高齢者に多くみられる。多くは原因不明だが てんかん、レビー小体型認知症、パーキンソン病、 脳腫瘍などが潜んでいることがある。 いまむら脳神経クリニック公式ホームページ 病院口コミサイト(鹿児島県…

てんかんと小脳

てんかんは大脳の過剰興奮が原因である。 一方、小脳はてんかん発作を抑える働きがある。 欧州ではてんかんの外科治療で小脳に刺激装置を埋め込む という術式があったが、一般化していない。 てんかん患者さんではしばしば小脳が萎縮していたり 小脳の血液の…

抗てんかん薬とカフェイン

抗てんかん薬は脳神経の興奮を抑える作用だ。 それがしばしば副作用の眠気につながる。 ひと昔前の医療では眠気に対してカフェイン製剤を追加する ことがあった。カフェインは脳神経異を興奮させるわけだから てんかんに対して良い方法ではない。 てんかん専…

6 月11日 日曜日

昨夜から雨。梅雨入りか。 今日は午後からミーティング。 脳波を準備しておくか。 いまむら脳神経クリニック公式ホームページ 病院口コミサイト(鹿児島県) ネット予約24時間受付。 診察はネット予約できます(予約受付24時間対応、初診・再診)

抗てんかん薬と葉酸

抗てんかん薬は程度の差あるがほとんどが催奇性を認める。 催奇性とは胎児に奇形を誘発することで特に妊娠初期に注意を要する。 抗てんかん薬のなかで催奇性が強いのはバルプロ酸だが、葉酸製剤を 併用することで催奇性の危険が低くなる。 葉酸製剤をどの程…

てんかんとバルプロ酸

バルプロ酸(デパケン、セレニカ、バレリン)は 全般てんかんの特効薬である。 その一方、部分てんかんには効果が弱い。 部分てんかんでバルプロ酸を処方するのは特殊な場合だ。 部分てんかんの特効薬はナトリウム・チャンネル拮抗薬だ。 医学誌 New England…

てんかんとアドヒアランス

アドヒアランスとは平たく言えば医師と患者の合意で 決めた治療方針を守って治療を受けることである。 てんかんではアドヒアランス不良は事故(火傷、外傷、 転落、溺水など)に直結し、しばしば生命を脅かす。 統計上、てんかんの死因は事故死(溺死、転落…

抗てんかん薬の選択

バルプロ酸は全般てんかんの特効薬であるが、 部分てんかんには効果が弱い。 しかし日本ではなんでもバルプロ酸が処方されることが多い。 部分てんかんには多量のバルプロ酸でも効かないことが多い。 驚くほど大量のバルプロ酸を長年服用しているのに 発作が…

治せる物忘れ

アルツハイマー型認知症、ピック病、レビー小体型認知症は現時点では 治療が難しい。認知症の治療薬は症状の進行を遅らせるに留まっている。 一方、治せる物忘れがある。正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、良性脳腫瘍 での物忘れは手術で治る。ビタミン不足に伴…

文学と過去の記憶

過去の記憶、なつかしい感覚などが唐突に浮かび上がってくる 描出のある文学作品は少なくない。 マルセル・プルースト(Marcel Proust)、ミシェル・レリス(Michel Leiris)、 ミヒャエル・エンデ(Michael Ende)などの作品は代表的だ。 これらの感覚は片…

状況失神

状況失神は神経調節性失神のひとつであり、排尿、排便、嚥下といった 日常動作、また痛み、嘔吐などといった状況で誘発される失神である。 てんかんとの鑑別を要する。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma/71/6/71_542/_pdfいまむら脳神経クリニック…

抗てんかん薬とガイドライン

抗てんかん薬はガイドラインに準拠して使用する。 ガイドラインはエビデンスに基づいての治療法だ。 国際抗てんかん連盟(ILAE)のガイドラインをもとに 日本では日本てんかん学会、日本神経学会が治療の ガイドラインを刊行している。 てんかん専門医はガイ…

神経と不応期

神経は刺激に反応した直後は次の刺激に反応しない時間がある。 これを不応期という。刺激で生じる活動電位が逆流しないように する仕組みであり、神経の診察で重要だ。 いまむら脳神経クリニック公式ホームページ 病院口コミサイト(鹿児島県) ネット予約2…

脳波のペースト

脳波は極めて微少な脳神経の電気活動を記録する。 良好な脳波記録には多くのコツがある。 記録電極を頭皮につけるには専用のペースト(糊)を 用いる。ペーストの使い方ひとつとってもノウハウがある。 いまむら脳神経クリニック公式ホームページ 病院口コミ…

抗てんかん薬ピラセタム

ピラセタム(ミオカーム)とはミオクローヌス(筋肉のピクツキ)を 抑える薬で、ミオクローヌスてんかんに用いることがある。 また脳の機能を高める作用があるとされているが 認知症への薬効は認められていない。 受験生のサプリメントとしての効果を謳う向…

若年ミオクロニーてんかん2

最近、啓蒙活動の成果で若年ミオクロニーてんかん という疾患名が知られるようになってきたが、 その反面、ピクつき = 若年ミオクロニーてんかんと いう短絡的な診断にお目にかかることも増えた。 ピクつき(ミオクローヌス)は正常なヒトでも 起きる(生理…

若年ミオクロニーてんかん

静岡てんかんセンターでの研修を終えて、 平成6年、大学病院勤務となった。 当時、注目されるようになっていた 若年ミオクロニーてんかんの話をしたが、 そんな珍しい病気なんて見たことない ということだった。 平成11年に大学のてんかん外来を担当 するこ…

てんかんと漢方薬

てんかんに効く漢方薬、サプリメントはない。 古代中国の宮廷医が皇帝から、てんかんの原因を聞かれて 「母の胎内にいたとき、母親が大いに驚き、胎児の気が 頭に上ったため生じる病気」と答えたという。 ひどい話だ。根拠のない説であるが、漢方は実証のな…

東日本大震災から6年

今日は東日本大震災から6年。 震災で医療が大変な打撃を受けた。 とりわけ、てんかんは診療が不十分となった。 抗てんかん薬は毎日服用する必要があることに加えて、 きちんと対応できる専門医が少ないためだ。 てんかんは脳神経の慢性疾患の中で最も患者数…

Keppraの打鍵器

2000年(平成12年)、アメリカてんかん学会で発表した際のこと。 ベルギーの製薬会社 UCBのブースで認可されたばかりの 新規抗てんかん薬レベチラセタム(Levetiracetam)の説明を受けた。 アメリカではKeppraの名称でUCBがプロモートしていた。 日本の厚生…

抗てんかん薬とスティーブンス・ジョンソン症候群

スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)とは 薬の副作用で生じるじんましん(薬疹)がこじれたものである。 薬疹が全身に広がり、熱発する。目がやられると失明する。 抗てんかん薬、抗生物質、解熱鎮痛薬、風邪薬が引き金となる。 抗てんか…

てんかんの薬物治療

てんかんは19世紀末まで治療薬がなかった。 最初の治療薬は1857年に発表されたブロム剤(臭化カリウム)だ。 19世紀に頻用されたが、20世紀になって新しい抗てんかん薬が 実用化されると、ブロム剤はヒトでは抗精神病薬、また獣医学での ペットのてんかん治…

目の前が真っ暗に

目の前が真っ暗になるというのは絶望の比喩表現だが、 絶望などしていないのに一時的に目の前が真っ暗になる症状の場合、 若い人は立ちくらみ、中高年は脳梗塞の前段階を疑う。 立ちくらみには貧血、自律神経障害、起立性低血圧、片頭痛、てんかん など多く…

バレンタイン・デイと聖ウァレンティヌス

今日はバレンタイン・デイ。 三世紀の聖職者 聖ウァレンティヌス(バレンタイン)に関連すると言われてきた。 聖ウァレンティヌスはてんかん患者の守護神でもある。 当時、てんかんは有効な治療法がなく、聖ウァレンティヌスの修道院は てんかん患者の救護施…