薬・注射

市販薬と処方薬

医師の処方箋なしで購入できる薬が市販薬だ。 ちょっとした風邪、痛みなどは市販薬だ。 市販薬は医師の処方箋が必要な処方薬と比べると 含まれている有効成分が少ない。 その分、副作用が少ないといわれるが、 全くないわけでない。 それを効果を補うためか…

薬の至適量

薬は服用量が増えれば効果が増すが、同時に副作用も増す。 厚生労働省が認可した範囲内で適切な服用量を決めるが 個人差が無視できない。他の薬との相互作用も考える。 抗生剤の様に短期間で結果を出すべき薬は多目の投与量で始めるが 逆に抗てんかん薬のよ…

大は小を兼ねない

抗てんかん薬の適切な量は個人差が大きい。 少ない内服量で十分な発作抑制効果がある場合の一方、 かなり増量しても効果が出ないこともある。 私が研修医の頃に出た論文で当時の代表的な 抗てんかん薬だったフェニトインは量を増やすと かえって発作が増えて…

咳止め薬 コデイン

厚生労働省は咳止めに使われるコデインを含む医薬品を 12歳未満に処方しないようにする方策を出した。 コデイン(リン酸コデイン)は脳の延髄の咳・呼吸中枢を 抑制することで咳を抑える。市販の咳止めに少量 含まれていることがある。含有量が多いと麻薬扱…

抗てんかん薬とカフェイン

抗てんかん薬は脳神経の興奮を抑える作用だ。 それがしばしば副作用の眠気につながる。 ひと昔前の医療では眠気に対してカフェイン製剤を追加する ことがあった。カフェインは脳神経異を興奮させるわけだから てんかんに対して良い方法ではない。 てんかん専…

抗てんかん薬カルバマゼピンと低ナトリウム血症

カルバマゼピン(テグレトール)という薬は ナトリウム・チャンネルを阻害することで神経の 過剰興奮を抑えて、てんかん発作、三叉神経痛 の症状を軽減する。同時に抗利尿ホルモン(バソプレシン) というホルモンの分泌を促す。抗利尿ホルモンが過剰になる…

向精神薬 30日処方制限

向精神薬は処方日数が制限されている。 昔は14日までだった。その後、30日まで処方可能と なったが、今でも14日以上処方できない薬剤がある。 普通薬は薬の種類によるが今のところ最大90日まで 処方できるものが多い。 デパス錠(エチゾラム錠)は今…

10月1日

10月になった。 インフルエンザワクチン予防接種を考える時期だが、 今年度は震災の影響でワクチン製造工場の一部が稼働 していないなどいくつかの理由でインフルエンザワクチンは 供給が不十分のようだ。インフルエンザは寒くなると 流行り出し、年末〜年明…

抗てんかん薬の作用

抗てんかん薬はそれぞれ作用機序が異なる。 代表的な抗てんかん薬であるテグレトール(カルバマゼピン)と アレビアチン(フェニトイン)はナトリウム・チャンネル阻害と どちらも同じ作用機序である。しかし作用機序が同じ薬でも 実際には作用、副作用がか…

インフルエンザと集団接種

1962年(昭和37年)に学童(小学生、中学生)に 全員インフルエンザ予防接種が義務付けられた。 私が小学生の頃、学校でインフルエンザ予防接種を 受けていた。 ところが1994年(平成6年)に集団接種は中止され、 任意接種に変わった。するとインフルエンザ…

インフルエンザ予防接種 2015

インフルエンザ予防接種開始した。 個別包装のやや高価なワクチンだ。 12月26日まで行う予定だが、 ワクチンなくなり次第、終了。 個別包装のひとり用ワクチンなので、 予約は特に不要。 小児の接種も行っているが、 かかりつけの小児科がある場合は、 …

高齢者と内服薬

高齢者は心臓、腎臓、消化器の働きが若いころに比べて 低下している。それだけ薬の副作用が出やすい。 当院にめまい、ふらつき、物忘れ、頭痛で受診される 年配の患者さんでも薬の副作用が関与していると 思われる例が少なくない。 先だって日本老年医学会は…

横紋筋融解症

横紋筋(おうもんきん)とは手足を動かす筋肉である。 この横紋筋が壊れてしまうことを横紋筋融解症という。 壊れた筋肉は血液、尿に流れ込み、赤い尿が出る。 尿を処理する腎臓が連鎖的に壊れて死亡することもある。 医薬品(コレステロールの薬、抗生剤、…

インフルエンザ予防接種

インフルエンザ予防接種増えてきた。 クリニック職員も全員行なう。 当院で毎年使っている一人用の 個別包装インフルエンザ・ワクチンは優れものだ。 あらかじめ正確なワクチン量が入っており、注射針も セットしてある。キャップを外すだけで接種できる。 …

抗てんかん薬とSJS

SJSとはスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome) の頭文字であり、薬剤に伴う副作用 重度発疹の代表例だ。 こじれると失明、死亡といった重篤な転帰を来す。 どういう薬剤でも起きる。抗てんかん薬はフェニトイン、 カーバマゼピン、…

低用量アスピリンの一日おき服用

脳梗塞、心筋梗塞の再防止にアスピリンが用いられる。 アスピリンを80mg〜100mgと少ない量(低用量)服用すると 血液の固まり方に関係しているアラキドン酸カスケードに うまく作用して、血液をサラサラにする。 服用量を増やすと逆に血液はサラサラにならな…

中毒性表皮壊死症(TEN)

薬の副作用で起きるジンマシンを薬疹という。 薬疹を起こさない薬は存在しない。 西洋医学の薬だけでなく漢方薬でも薬疹が起きる。 薬疹はそうたびたび起きるわけでないが、 薬疹が疑われたら、すぐに薬の服用を中止する。 薬疹がこじれると中毒性表皮壊死症…

揉む?揉まない?  インフルエンザ予防接種の後

一昔前まではインフルエンザ予防接種の後 接種部位をよく揉むようにいわれていた。 最近の医師でのアンケートでは約70%が 「揉まない」という結果が出ている。 https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/45160/Default.aspx 「揉まない」が多数派…

サリドマイド

サリドマイドは西ドイツで開発された薬剤で、睡眠薬として 有用であると認可されて1957年(昭和32年)に発売された。 睡眠薬としてだけでなく、妊娠時の「つわり」にも効く とのことで多くの妊婦が服用した。 ところが生まれた子供の奇形(特に上肢)の原因…

てんかんの薬 別の使い方 デパケン

デパケン(セレニカ、バレリン)は全般てんかんの代表的治療薬である。 てんかんだけでなく片頭痛の予防薬としても用いられる。 ただし妊婦・妊娠予定のある患者さんでは専門的配慮が必要である。 医療法人雄翔会 いまむら脳神経クリニック http://www5.syna…

てんかんの薬 別の使い方 テグレトール

テグレトールは部分てんかんの代表的治療薬である。 同時に三叉神経痛の治療にも用いられる。 三叉神経は顔の感覚をつかさどる神経で、 それが刺激されて生じる痛みが三叉神経痛だ。 口の横、周辺に激痛が走る。 医療法人雄翔会 いまむら脳神経クリニック ht…

世界母乳の日

今日8月1日は「世界母乳の日」だ。 1992年(平成4年)制定。 薬の中には母乳に移行するものがある。 以前は母乳に移行する薬を服用している場合、 授乳禁止という考えもあったが、移行する量が微量であること、 また授乳タイミング、搾乳で調節、人工…

頭痛薬と胃の保護

頭痛薬は時として胃を痛める。 食後に服用が推奨されるのは胃の粘膜の保護が目的だ。 頭痛薬もなるべく胃にやさしいものを使う。 それでも不十分な時は胃薬を併用する。 胃薬もいろいろな種類があるが、この場合は胃粘膜を保護する薬を選ぶ。 医療法人雄翔会…

胃と頭痛薬

頭痛によく使われる痛み止めは同時に胃の粘膜を荒らす。 食後に服用することが推奨されるのは胃を保護するためだ。 医療法人雄翔会 いまむら脳神経クリニック http://www5.synapse.ne.jp/ytpage/j:image:w360]

アスピリンと癌(ガン)防止

英国オックスフォード大学のピーター・ロスウェル教授は 低用量のアスピリンを連日服用すると癌を抑えると報告した。 http://www.ox.ac.uk/media/news_releases_for_journalists/120321.html 興味深い報告だが、アスピリンは低用量でも胃潰瘍(いかいよう)…

アスピリン・ジレンマ

アスピリンは解熱鎮痛剤として古くからある飲み薬である。 解熱鎮痛目的では大人で一日660〜1320mg程度服用する。 アスピリンのもうひとつ大きな薬効に血液サラサラ作用がある。 こちらは少ない量を用いるのがポイントだ。 75mg〜150mgの…

抗酸化サプリメント

過度の抗酸化サプリメント服用は寿命を縮める。 ヒトが呼吸で吸い込んだ酸素の一部は活性酸素(フリーラジカル)に変わる。 活性酸素は細菌、ウイルス、毒素の除去を行っている。 活性酸素が過剰になると体を酸化させるが、日常生活の範疇 では過剰になるほ…

薬と副作用

薬の種類が多いと副作用、相互作用の問題が出てくる。 診察、検査でピン・ポイントにぴしゃり効く薬を決める。 薬を複数組み合わせる場合でも、種類は最小限に留める。 ひとりひとり個別に合わせた薬を考える。 副作用、相互作用を避けるためだ。 医療法人雄…

片頭痛と薬

片頭痛の薬の選択はむずかしい。 ピン・ポイントにぴしゃりと効く治療薬を考え、 必要最小限の種類・薬量に調整することが大切だが、 片頭痛そのものにいろいろなタイプがあり、 また性別、年齢、他の持病の有無でも変わる。 加えて薬に対する体質に個人差が…

てんかんの薬 4  フェノバルビタール

これも古くからある薬で、てんかんの治療に幅広く用いられて来た。 部分発作に効き、全般発作にも用いる。 フェノバールという商品名だ。 前駆体のプリミドン(マイソリン)も同等の薬だ。 眠気が来ることがあり、投与量に注意する。